アポロニア21

Vol.26 「口から見える貧困問題」という特集

医師、歯科医師向け雑誌の『民医連医療』の5月号の特集は「口から見える貧困問題」というタイトルで、現在の歯科医療が抱える問題についてかなり突っ込んだ議論が見られるとして注目されています。

その中で、東京の歯科医師、岩下明夫氏が提示したのは、子どもと青年の「口腔崩壊」の事例です。現在、日本における子どものむし歯は急速に減っていますが、その中にあって、1歳8ヶ月で前歯がむし歯で完全に崩壊してしまったケースなど、深刻なむし歯を持っている子どもが増えている実態があります。これらの症例を検討したところ、「経済問題」「親の喫煙」「多兄弟」がリスクとなっている可能性が示唆されるとのこと。また、青年の場合は、長時間労働によって免疫力が低下し、寝たきり高齢者並みに舌苔が付着して痛みを生じた症例などが見られますが、忙しいのと、経済的に余裕がないことなどから、歯科の受診が継続せず、むし歯、歯周病が進行して、年齢の割に多くの歯を失ってしまうケースが少なくないようです。

これまで、これらの人々は、歯科医院に来院する習慣を持っていなかったこともあり、実態が十分に把握されてきませんでした。しかし、近年、厚生労働省が、社会福祉事業の一環として、一部の医療機関で無料低額診療を認めるようになり、厳しい生活環境に置かれている人々の多くが、歯、口腔の病気や歯牙喪失といった状態となっている現状が知られるようになってきました。

日本では、昭和30年代以来続いてきた国民皆保険制度のもと、医療の分野は所得の差が現れにくいとされてきました。しかし、歯科については「歯の病気は生死に関係しにくい」と考えられていることに加え、材料や治療法など患者さんが美的な意味も含めて選択する部分が大きいことから、もともと所得による受診傾向の差が大きいという特徴がありました。さらに、自費診療だけでなく、保険診療の自己負担分を含めて患者負担が医科診療所に比べて大きい傾向があり、受診を手控える人が多いことも知られています。

さまざまな理由によって、歯科治療を受けられず、歯と口の健康を維持できない状況にある人々に対して、どのような対策が可能であるか、歯科医療界では、難しい課題に向き合っているのです。


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