アポロニア21

Vol.29 ご注意!こんな歯科医院があります

歯科医療は、通常の保険診療のほかに、健康保険が適用されない自由診療の幅が一般医科よりも大きいのが特徴です。 この自費診療の単価は、医院によって大きな幅がありますが、保険制度が年を追って厳しくなり、経営が厳しい多くの 歯科医院にとって、貴重な収入源となっています。しかし、折からの不景気によって、歯科の医院収入に占める自費診 療の割合は、伸び悩んでいます。ある歯科医師の団体がまとめた資料によれば、過去数年の間に、自費診療の比率が下 がったと答えた会員が多くを占めていました。

このような環境のもとで、「何とか自費を選んでもらおう」と、さまざまな工夫(?)を凝らす歯科医院が出てきて います。例えば、

  • 自費診療を迷っている患者さんのアポイントの前に、自費診療の支払をする患者さんのアポイントを入れる →こうすることで、患者さんの「競争心」を煽ったり、患者さんを「他にも自費診療している人がいる」と安心させる
  • 自費を希望しそうな新患の患者さんが待合室で待っている間、自費の患者さんのアポイントを入れ、それにとりわけ親切な態度をとる →こうすることで、「自分も特別扱いされたい」という患者さんの心理を煽って医院のファンにして自費を選択させる
  • 患者さんの住所をGoogleの「ストリートビュー」で調べて、どんな家、どんな地域に住んでいるか当たりをつける →お金持ちそうな人には、特に親切にする、親しげにすることで自費を選択させるターゲットを定める
  • ブランド品を持っている患者さんに対しては、それを過大に褒め、「このようなセンスを持っているのだから、歯は白くしないと…」と自費を勧める→患者さんの「優越感」を刺激することで自費診療を選択させやすくする

といったものです。実際に、このような「営業戦術」を取っている歯科医師に話を聞いたところ、「歯科の自費は医療ではないから」「患者さんも見栄で自費を選択するのだろう」と言っていました。このような歯科医師のいるクリニックはご用心。必要もない治療を強引に勧められてしまうでしょう。

 そもそも、保険であれ、自費であれ、歯科治療の内容を決めるのは最終的には患者さん自身です。これを、見栄か何かで決めてしまっては、大きな損失になります。

 では、どんな歯科医院が信用できるのでしょうか。まず、患者さんごとの個別の資料によって説明していること。例えば、口腔内カメラを使用してリアルタイムに説明してくれるところは、ある程度、信用できるかもしれません。そして、保険診療の選択肢もきちんと提示していること、治療内容を選択するのに1週間以上の時間を患者さんに与えていることなどが、「まともな歯科医院の条件」だと言えます。おかしな「営業トーク」には乗せられないことが大事です。


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