アポロニア21

Vol.46 「検案検視」という災害時の歯科医師業務

 3月11日の東日本大震災で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。この震災では、発生直後から、全国からかなりの数の歯科医師が被災地に派遣されました。「警察協力歯科医」と呼ばれる人々です。警察と災害協力の契約を結んでいる歯科医師で、普段は、普通の「歯医者さん」として仕事をしていますが、いざという時には、災害被災地で死体の身元確認を行う業務に従事するのです。この仕事を「検案検視」と呼びます。今回の活動開始はかなり早く、発生翌日には被災県の歯科医師会などを通じて警察から出動要請があり、3月14日には、東京の警察庁から最初の派遣隊が被災地に向かいました。

 今回の災害は大規模津波震災ということもあり、かなりのご遺体が水死体(顔貌が変化している場合が多い)であったこと、地元歯科医院も多く被災しており、歯形と照合するべきカルテが残っていないケースがかなり見られ、当初から難航が予想されました。しかし、地元のボランティア歯科医師(自分自身の家族や家屋、医院が被災した人も少なくない)らとの協力のもと、身元確認は当初予想を上回る成果を挙げつつあるとのことです。ただ、被災から1ヶ月を超えた今、遺体の数が減ってきたことから「検案検視」のニーズは収束しつつあります。しかし、日を追うごとに遺体の損傷度合いが激しくなり、通常の「警察協力医」のレベルでは対応できず、大学病院に属する法歯学の専門医の領域へと移り始めています。

 歯科医師の災害支援には段階があります。最初の段階が「検案検視」で、次に、被災地で発生しやすい呼吸器系の感染症(肺炎など)を防ぐための口腔ケアの実施、歯ブラシなどの無料配布、さらに、津波災害の場合には入れ歯などが流されてしまったケースもあり、仮の入れ歯を作るなどの業務もあります。地元ボランティアだけでは到底ニーズを満たせないことから、全国各地の歯科医師が歯科医師会や自衛隊などを通じて、ボランティアで業務に当たっています。

 しかし、歯科医療は最終的には地元の歯科医師が担うべきものであり、地域経済を担うひとつの産業でもありますから、あまり長く他県のボランティアが無料診療を続けるのは望ましくないとの意見もあります。そこで、応急的な対応が終わったら、今度は、全国の歯科医師が、被災地の歯科医院が再建できるように、主として資金的な援助を始めることになるようです。

 遺体確認から口腔ケア、応急的診療、そして地域歯科医療の再建へと、東北の歯科医療を立て直す取組みは、段階的に、着実に進んでいます。


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