アポロニア21

Vol.35 アメリカのドラッグストアでは

現在、医療保険制度改革についての議論が続いているアメリカは、こと、医療制度の面からすれば、「先進国」とは言えないレベルにあることが知られています。これは、医療技術が遅れているわけでもなく、医療費が少ないわけでもありません(一人当たりの医療費は世界で突出している)。ひと言で言えば、「医療を満足に受けられない人の割合が途上国並みである」ということです。

特に歯科の分野はそれが著しく、民間医療保険の多くが歯科医療への給付システムを持っていません。例外的に小児のむし歯予防などについてサービス提供されている程度です。一般的な労働者階層にとって、歯科医院に行くということは、大変に贅沢なことだとみなされています。そのため、むし歯があっても、歯肉に痛みがあっても、ほとんど歯科医院で治療を受けようとはせず、ドラッグストアで売っている薬や材料を用いて、自分で治すことを選択する人が多いのが現状です。例えば、シカゴの深夜まで開いているドラッグストアに行くと、歯ブラシや歯みがき粉などだけでなく、自分でむし歯の穴から「感染象牙質」を除去して消毒し、接着性の材料で封鎖するという、通常、歯科医院で行われている処置も自分で行なえるキットが、大体、1000円以内で売られています。また、ベンゾカインという比較的危険の少ない麻酔剤も売られていて、店の人によれば、「自分で歯を抜く人が使うのではないか」とのことです。

この種の「自分で治す市場」は、アメリカだけでなく、イギリスのように医療費は安くてもなかなか順番が回ってこない国でも拡大の一途を辿っています。これは、医療が適切に提供されていない証拠であると見なすことができます。日本では、歯科医師数が過剰であるとされ、どこの歯科医院にもかかることができますし、治療費の単価も保険診療であれば先進諸国の中で非常に安く提供されています。日本の患者さんは、大変恵まれているということになりますが、実際には、どうでしょうか。歯科に定期的に通って歯と口の健康を守るという習慣が付いておらず、「日本人は歯が悪い」というのが国際的な通り相場となっています。これは、制度の問題ではなく、医療消費者である国民の意識の問題ではないかと考えられます。安価で簡単に治療が受けられるため、逆に、予防を軽視するような意識構造になっているとすれば、日本の医療制度は、こと歯科に関して言えば、必ずしも国民の利益に叶っていないところもあるのではないでしょうか。


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