アポロニア21

Vol.43 増加する金属アレルギー

 現在でも、歯科治療には特定の金属による修復処置が含まれています。温かく、湿った環境の口の中であっても、歯科用に指定されている金属の多くは化学的に安定して溶出したりしないとされてきました。

 しかし、近年、歯科用金属が原因と見られるアレルギー症状が注目されるようになっています。代表的なのは湿疹、掌蹠嚢胞症(しょうせきのうほうしょう)のような皮膚症状ですが、頑固な肩こり、頭痛などの不定愁訴の一部も、金属アレルギーに関連した症状なのではないかと指摘する歯科医師が出てきました。

 どの金属がアレルギーを起こしているかを特定する方法として、皮膚に試薬を付けて反応を診るパッチテスト、血液を採取、リンパ球を分離培養して検査するLST試験が行われますが、歯科では保険が利きません。そこで、皮膚科などと協力し合って診断、原因勤続を撤去する治療を行うのですが、このような連携が可能なのは大学病院など大規模医療機関に限られているのが現状です。

 金属アレルギーが起こるのは、複数の歯科用金属、あるいは合金が口腔内に装着されている場合、互いの電位差によってイオン化傾向の高い金属がイオン化して溶出するためです。よく知られているのは、アマルガム充填の近くに金の修復物を装着すると、アマルガム中の水銀が溶けやすくなるというものです。それ以外にも、ニッケル、クロムなど非貴金属によるアレルギーが見られます。

 最近では、パラジウム、チタンなど、比較的安全とされてきた金属材料にもアレルギーに関連している可能性が指摘されるようになっています。パラジウムは、日本では保険診療で広く用いられていますが、ヨーロッパでは使用しないように勧告がなされていることもあり、今後の動向が注目されます。

 歯科用金属の問題のうち、解決が最も難しいのは、「患者さんが自分の口の中に何が入っているか知らない」という事実です。子どもの頃に充填されたアマルガムが、大人になって別の場所に金属性の修復を行うことによってアレルギーの原因となることが多いとされています。歯科医院でかぶせ物などの修復を行う際には、「今、どのような金属が入っているか」を確認すること、そして、できればアマルガムの充填物は撤去するよう、担当の歯科医師に相談することをお勧めします。それだけで金属アレルギーのリスクはかなり軽減されることが知られているからです。


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